那覇空港から北へ、沖縄本島を縦断する国道58号線。沖縄県の数少ない
主要幹線の一つであるこの道路を走ると、特に中南部地域の北谷町から嘉手納
町、読谷町辺りにかけて白塗りのフェンスが延々と続いているのが目に入る。
豊かな緑と夾竹桃の花に彩られたこのフェンスこそ米軍基地を外部の世界から
遮断し、日本の中の「米国」の存在を際立たせる舞台装置のように思われるが、
去る7月14日から17日、筆者は日本国際問題研究所と東京アメリカンセンター
の共同企画の一環でフェンスの内側と外側から米軍プレゼンスの現状を見る機
会を得たことから、ここに今回の沖縄訪問について報告したい。
(The author talks about flying across japan into Okinawa, and then taking a highway that cuts across the island there aren't many highways on Okinawa, and there is a lot of green stuff, and this fence. Talks a lot about this fence. It cuts off the american base like cutting it off from the world, it looks like a staging ground in there, etc. Anyway, the author has a connection to the place because of the work he does at the tokyo american center and they made some plan for his to make a report on the current state of affairs at the base.)
沖縄に足を踏み入れて誰もが最初に気づくことは、亜熱帯の気候もさるこ とながら、その下で広大な土地面積を占める米軍基地そのものの「存在感」だ ろう。日本全土の0.6パーセント程に過ぎない沖縄県に全国の米軍専用施設面 積の75パーセントが集中という数字はよく聞くが、基地が嘉手納町の83パーセ ント、金武町の60パーセント、北谷町の56パーセントも占有している状況を思 い浮かべると、その大きさが一層実感されるのではないだろうか。宜野湾市の 真ん中から密集する住宅や商店、学校の上空に輸送機やヘリコプターが飛び立 つ普天間飛行場も同市の28パーセントを占める。こうして「どこへ行くにも (基地のために)まっすぐ進めない」(県関係者)状況が生じることになる。
(Comments on how Okinawa is like .6 % of Japan, but 75% of it is
taken up by US bases. Just about everywhere you go there are
helicopters, and signs for "authorized personnel only" and so on. It
is almost all military used.)
また、あまり気づかないかもしれないが、那覇空港と嘉手納、普天間飛行
場が近接している関係で、民間航空機も北から(または、北へ)のコースは
「嘉手納ラブコン」と呼ばれる軍用機優先の米軍航空管制を受けることが現在
も義務づけられている。
(Also, I don't know if you would notice it, but from the place airport and highway, there is this adjacent airport and for anything flying to or from the north military planes are given priority. (And are put under the obligatory control of the military place.)
このほか沖縄周辺には米軍の管理下にある29ヵ所の水 域と20ヵ所の空域が訓練用に確保されていることも注目される。このように、 沖縄では陸海空の全てで軍用の空間と隣り合わせの生活が垣間見られるのであ る。
(Outside of this, you should notice that there are 29 places in the
water and 20 places in the air that are guaranteed for military
practice. From this one place in Okinawa you can catch glimpses of
the lifestyle of the military practices (or something like that.))
沖縄の基地問題が複雑なのは、それが終戦後、米軍が旧日本軍の施設に加
え、私有地や市町村有地までも追加的に接収して基地建設を進めた歴史と切り
離せないためであり、ほとんどの米軍基地が旧日本軍施設など国有地である本
土と事情が根本的に違っている。
(Not sure about this one. Something about after the war, if you
include the military institutions that America built and confiscated
from Japan, they stopped Japan's ability to make more bases, and is
almost in all different (in some way) from Japan. (American military
vs. Japanese in some way)).
もちろん、土地問題だけが沖縄問題であるわけでなく、頻発する演習関連
事故や騒音、米軍兵士の犯罪などへの対応も急務である。
(Of course, it isn't just a problem about the land in Okinawa,
frequently there are military training exercise accidents, and noise,
and the crimes of american soldiers are also an urgent problem.)
また、朝鮮半島やベトナム、ペルシャ湾岸に飛び立つ米軍機を目で追う県
民たちは、自らの戦争観とも重ねあわせ、「平和」についての問題提起を怠ら
ない。
(Also, we can't forget the possibility of people that chase after
military secrets of the american military that always jumps out to
places like korea, gulf, vietnam. These people's feelings of war also
pile up, and they might sue about the problem of "peace." (Yea, I
know, I don't think this is a good translation either.))
沖縄では太平洋戦争の末期に日本国内で唯一の地上戦が繰り広げられ、
約9万人の市民が犠牲となった悲惨な「沖縄戦」など、戦争体験の教訓を後世
に語り継ぐ意識も大事にされている。
(It is also important for the
people that fought in the war that developed above the ground and
sacrificed themselves (some large number of sacrifices, it is sad) for
those people that have the war experience to pass on the lesson to the
next generation.)
県が「平和の礎(いしじ)」を築き、国
籍や敵、味方、軍人、非軍人の別なく恒久的な平和の希求という普遍的見地か
ら戦没者名を刻銘したことも、こうした「平和の心」をよく示している。
(I do not get this sentence. Something about people that have
fallen in battle, enemies, allys pointing to the heart of peace.)
講和後も長く米国の施政権下に置かれるなど、日本でありながら日本でな
いような曖昧な地位にあった沖縄は、本土復帰を果たしても脆弱な経済基盤に
大きな改善は見られなかった。
(After Okinawa returned to Japan it had a vague social status. It
would be seen in a strange light politically even if it returned.)
沖縄の重い負担を目の当たりにするとき、我々はごく最近まで、そしてい
たいけな少女が米軍兵士に暴行を受けるという悲劇が全国的に報道されるまで、
問題の奥深さを知らず、解決も先送りにしてきた怠慢を恥じずにはいられない。
(There are some violences committed against young women by the
military men, the tragedy is reported across the country without
understanding the profound impact, some resolutions are made and they
are not embarrassed about the negligence.)
本土からは理解が得られず、あくまでも基地機能の県内移設が条件の整理・統
合・縮小案に孤軍奮闘する県の担当者が、「自分たちは本土に基地を移せとは
一度も言わなかったし、沖縄の良心がそれを許さなかった」と語っていたこと
は非常に印象的だった。
(Something about a disagreement between people of Okinawa and one
prefecture against the military only being able to use one place for
transport (the use is exclusive to the military)). Negative tone.
もっとも、「基地」は沖縄の経済や財政にがっちりと組み込まれ、米軍施
設の返還のみではもはや決着しえないことも明らかである。その点、今回、現
実的な立場を取る沖縄の有識者から基地の現状維持でも全面撤去でもない「第
三の選択」の必要性が示唆されたことは興味深かった。したがって、問題は日
米安保体制の根幹となる米軍の前方展開を損なわずに基地施設を再編させる一
方、跡地利用も含め、将来どう沖縄を変えて行くかが焦点となる。
(Most of the military people are miserly with their money and do not
insert it into the local Okinawan economy and it is clear that a
decision for their return home something. This time, very
interestingly, experts that take a position based in reality hint that
there shouldn't be a complete withdrawal but that there should be some
selection by an outside party. Therefor, the root of this problem is
the US-Japan self defense treaty, and without harming the from before
expansion of the US armed forces to reshuffle the existing army
bases. On the other hand, if you also include (burned earth?) the
focus is on how Okinawa will change in the future.)
そこで、在沖米軍が果たしている機能についてだが、まず沖縄が、日米安
保条約に基づき、問題となる非常事態(有事)が発生した場合、迅速に展開で
きる米軍部隊ムなかでも第18航空団と第3海兵遠征軍(IIIMEF)ムの前進基
地となっているばかりか、作戦行動をほぼ完璧にまで支援する自己完結的な体
制がここに整備されていることが今回の視察でも確認された。
(Just as expected by the us armed forces, based on the defense treaty,
for the places that have become unusually troublesome quickly to cut
expansion, they want a guarantee of almost perfect conduct from the
water place (you know, boats mentioned above for transport/training)
and to create some new contract by themselves. or something.)
4000メートル級の滑走路を二本持つ西太平洋最大の嘉手納飛行場ではF15
戦闘機部隊のほかC5A輸送機、E−3早期警戒管制機(AWACS)、KC
135空中給油中隊などが第18航空団の下に常駐し、さらに戦略空軍や第7艦隊
の対潜哨戒部隊や海兵航空群にも利用されていることから、防空・反撃・戦略・
空輸・支援・偵察・機体整備といった広範囲にわたる米軍機の活動が可能となっ
ている。飛行場に隣接する嘉手納弾薬庫地区には広大な敷地に米軍が西太平洋
地域で使用する爆弾や弾薬が大量に保管されている。
「沖縄」の軍事的機能を際立たせているもう一つの側面は、海兵隊の存在
である。それは約2万7000人の在沖米軍のほぼ六割にあたる1万6000人強が海
兵隊で、他の軍種(空軍6900、海軍3000、陸軍840)を大きく引き離している
ことからも裏づけられるだろう。
水陸両用作戦を得意とし、世界各地の有事に真っ先に駆けつける米海兵隊
の遠征部隊は現在三つ。そして、まさにその中の一つが沖縄を本拠とする第3
海兵遠征軍なのである。
事実、「遠征」に必要な兵站や訓練はほとんどすべて沖縄で準備できる。
そのためキャンプ・キンザー(牧港補給地区)には大倉庫群が立ち並び、キャ
ンプ・ハンセン地区では演習が繰り返されている。返還問題に揺れる普天間飛
行場はヘリコプター部隊を中心とする海兵航空群のホームベースであり、県内
東海岸(キャンプ・シュワブ)沖の海上ヘリポート建設が返還の条件となって
いることは周知の通りである。作戦面からは、仮りに「朝鮮半島有事」が発生
した場合、佐世保を母港とする強襲揚陸艦に沖縄の海兵空・陸部隊が合流し、
事前集積艦(海兵遠征旅団を30日間支えるすべての装備と物資を輸送)と連動
して対応するシナリオなども考えられるだろう。
在沖米軍の主要な基地を訪ねての率直な印象の一つは、それらがスペース
や施設の面で格段に充実していたことであった。日本の受入国支援や思いやり
予算が快適な駐留(米軍関係者は「生活の質」という表現を使っていた)をも
たらしたわけだが、他方で間違いなく整理・統合・縮小は充分に可能であるこ
とから、県民負担の軽減に向けた努力は、日米間で合意された沖縄特別行動委
員会(SACO)のプロセスの履行も含め、何としても早急かつ誠実に進められな
ければならない。
県の幹部からは、軍事兵器が急速に進歩するなかで沖縄が地政学的に重要
だとする論理は時代遅れだとの意見も出されたが、筆者は少なくとも北東アジ
アの戦略環境が著しく変化するまで在沖米軍の機能の側面に重大な影響が及ぼ
されてはならないと考える。それは、日本の安全保障が周辺地域の平和と安定
に直結するからでもあるが、同時に米国の軍事行動イコール「戦争」なのでは
なく、平和維持や国連制裁の強制、人道援助、災害救援などで重要な役割を有
していることも評価すべきと考えるからである。
米軍プレゼンスの問題は今、沖縄だけでなく日本全体で議論することが改
めて求められているのである。
(アメリカ研究センター客員研究員)